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佐久島アート
> アートな弘法巡り
一番 「阿弥陀寺」
東集落の八劔神社のそばに、佐久島弘法巡りの第一番札所である阿弥陀寺がある。阿弥陀寺の太子堂には、島民が個人でお世話できなくなった複数の弘法さんがまつられている。弘法祭りの日には青い旗がひらめく。
三番 「正念寺」
三番札所の正念寺は阿弥陀寺のすぐ前にある。本堂の前にはアート作品の海神さまも鎮座。境内には薬師堂も。島民にはもちろん、黒い塀がボランティアの手で塗られるなど、島外の人にも親しまれているお寺だ。
五番 朝日が最初に照らす場所「サンカク」
長岡 勉
海辺の切り立った岩場の上に立つ、斜めの段々がシャープに刻まれたサンカクの祠。内側を覗くと、一番奥に開けられたガラスのスリットから朝陽が差し込んで来て、弘法様から後光がさしているように見える。
十番 波音がきこえる森の中で「青」
曽我部昌史(みかんぐみ)
「青」という名称には、蝶や貝など佐久島の自然がもたらす色彩が取り入れられている。ほの暗い森の中、祠の内部へ光を届ける仕掛けも施されていて、一日の限られた時間だけ、弘法大師像にあたたかい光が届けられる。
十五番「排虚」
ふるかはひでたか
長年の間に失われてしまい、アートの力でよみがえった土弘法。ひとつの型から、素焼きのほか黄・黒・茶色の釉薬をかけた4つのタイプが作られ、長らく主の不在だった祠にまつられた。端正な顔立ちのイケメン弘法さま。
十七番「〜風の訪れ〜」
愛知工業大学 中井研究室
佐久島の歴史の積層を木とアクリルの壁で表現。従来の湿気のこもる祠から、さわやかな風を通す構造とした。屋根のかたちはお遍路さんの笠、背後の塔は杖をイメージしている。
二十六・二十七番「ふたごほこら 過去と未来」
椙山女学園大学 村上研究室
名古屋商科大学 納村研究室
向かって左の祠は「過去」、右は「未来を」イメージ。本体部分はレンガ、基壇部には地元西尾産の瓦の破片を使用し、厨子は祠の内部を明るくするためアクリルで制作した。
四十五番「方形」
名古屋工業大学 北川研究室
本体部分は以前の祠を解体したレンガで再構築。屋根は木材で表面を佐久島らしく黒で塗装した。大屋根の内部は複雑な木組み構造。姿勢を低くして大屋根をくぐることで、弘法さんとの距離が縮まる。
四十七番 みかん畑で会いましょう「銀」
竹内 昌義(みかんぐみ)
弘法大師の法号は「遍照金剛」。祠はステンレス製の正二十面体構造で、あまねく照らす金剛石(ダイヤモンド)を連想させる。また弘法大師は銀(水銀)の鉱脈とも縁があると伝えられ、ステンレスの銀色はそんな歴史も感じさせる。
四十八番「御厨人窟 2011」
愛知淑徳大学 清水研究室
弘法大師修行の場である高知県室戸市・御厨人窟(みくろど)と同じ、空と海が見える場所に、大師の歴史を吹き込む。丹波石を使用し御厨人窟の洞窟のイメージを再現。歳月を重ねることで完成する祠。
五十二番「亀乗弘法」
松岡 徹
現代によみがえらせた土弘法。ひとつの型から異なる土で、すべて釉薬をかけない素焼きにより、赤みがかったものや白っぽいものなど4つのタイプの弘法大師坐像が作られた。亀乗り弘法とは、いかにも島らしい。
五十五番 二代目山羊さんたちと
「空海郵便とビリー・ザ・キット」
マニュエル・タルディッツ
(みかんぐみ)
祠の形は郵便ポスト、内部は金色で背面には砕いた鏡が貼られ、弘法大師の威光を現すかのようだ。祠のそばで島民に飼われている山羊の小屋も同時に設計。「やぎさんゆうびん」の歌詞(作詞:まどみちお)からヒントを得た構成になっている。
五十六番「対」
名古屋大学 恒川・太幡研究室
完全崩壊して材料も失われていたこの祠は、アーチ型のデザインと基壇で佐久島弘法の記憶を踏襲した。御影石のようにつややかに光るコンクリートの祠の周囲には、参拝者のための小さな椅子も作られた。
五十七番「空海の心」
大同大学 武藤研究室
祠の形状を曼荼羅に見立て、円と四角で構成、「我が心空の如く、我が心海の如く」という弘法大師の言葉を抽象的に空間化。素材は以前の祠のレンガを使い、佐久島オリジナル漆喰で塗装した。
六十四番「合」
名城大学 生田研究室
本体部分は、若干の修復をほどこしながら旧来のレンガ塗りをそのまま使用。崩れ落ちた屋根は、佐久島に多い寄棟屋根を鉄で制作し、内部に光と風を取り込む構造とした。
六十七番「記憶のハコ」
名城大学 谷田研究室
本体部分は、旧来のレンガ造りをそのまま使用。メンテナンスを考慮して銅板のアーチ型屋根と一体化させた内装は佐久島の民家をイメージして木製にした。奥まった場所にあるためアプローチも制作。
八十番 空と海を眺める高台で「ほりぞん」
加茂 紀和子(みかんぐみ)
モダンなレンガタイルは、昔ながらのレンガ造りの祠を連想させる。円筒の窓からは空と海(空海は弘法大師の法名)の境界=水平線が見える。天気がよければ紀伊半島も。そこには空海が修行の場として開いた高野山がある。
八十一番 貝のような椅子のような
「コウボウノコシカケ」
小川 次郎/日本工業大学
小川研究室
知多半島を望む堤防沿いにある祠は、巨大な貝殻のような形と色を持つ有機的なイメージ。海からの風や波から弘法さんを包み込んで守っている。そこに腰掛けて弘法さんに寄り添い、海を眺めながら静かな時間を過ごそう。
八十八番 「崇運寺」
西港渡船場にほど近い高台の上に建つお寺。1192年建立とされ、1600年には徳川家康が滞在したとも伝えられる古刹だ。本堂に弘法さんがまつられている。弘法祭りの日には、鮮やかな赤い旗が風にたなびく。